パート・アルバイトの慶弔休暇は必要なのか?
慶弔休暇とは、自分や親族が結婚した場合や、配偶者の出産、近親者に不幸があった場合などの慶事や弔事に際して取得できる休暇のことです。
多くの会社に慶弔休暇がありますし、従業員側でも慶弔休暇はあって普通という感覚ではないでしょうか。ですが、この休暇は、通常の有給休暇のように法律上の義務はないため、「うちの会社は慶弔休暇はないよ」という場合でも違法ではありません。
同一労働同一賃金が開始
パートタイム・有期雇用労働法により、2020年4月(中小企業は2021年4月)から、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差が禁止されています。
いわゆる「同一労働同一賃金」と呼ばれるもので、正社員(無期雇用フルタイム労働者)とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されています。
慶弔休暇も福利厚生として待遇の一種
「同一労働同一賃金に関するガイドライン」で、「慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除及び当該健康診断を勤務時間中に受診する場合の当該受診時間に係る給与の保障」について「短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならない。」と記載されています。
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制度があるならパートにも、慶弔休暇は必要
慶弔休暇制度がなくても違法ではありませんが、慶弔休暇を設けている場合はパートにも慶弔休暇が必要ということになります。しかし「正社員ならわかるけど、週2、3日のシフト制のパートはどうしたら良いか?」という質問もよく聞きます。
同じく 「同一労働同一賃金に関するガイドライン」で、問題とならない例として以下のように記載されています。
「A社においては、通常の労働者であるXと同様の出勤日が設定されている短時間労働者であるYに対しては、通常の労働者と同様に慶弔休暇を付与しているが、週3日の勤務の短時間労働者であるZに対しては、勤務日の振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与している」
勤務日の振替ができるのであれば、その対応で「不合理な待遇差」なしとのことです。
まとめ
制度があるなら、パートにも慶弔休暇は必要です。
週3日勤務の短時間労働者は、シフトの振替でOKということですが、そうすると結局のところ慶弔休暇なしと変わらない気がします。短時間労働者でも週5日出勤の人は、振替が難しいですから慶弔休暇を与えることになり、その差も気になるところです。
慶弔休暇ですから年に何回もあるものではありませんし、お祝事や不幸な出来事の際の休暇ですから極力、他の人とシフト交換してもらいつつ、その日の時給分を支給するのも検討されてはいかがでしょうか。
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投稿者プロフィール
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柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
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