建設業必見!2026年版「人手不足×働き方改革」の対応

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はじめに

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、すでに2年が経過しました。しかし現場では、まだ「制度は知っているが対応しきれていない」「人手不足で結局長時間労働になっている」といった声が聞かれます。
建設業は長年、過酷な労働環境が常態化してきた業界です。施工スケジュールのタイトさや天候による工期の変動など、他業種では考えにくい特殊事情があります。そのため、法令上の規制が導入されたとしても、現場の働き方がすぐに変わるわけではありません。しかし、法規制は確実に適用されており、違反すれば罰則の対象となります。
本記事では、建設業における時間外労働の上限規制の詳細を整理し、2026年時点で求められる実務対応や、現場で働き方改革を進めるための具体的手法を解説します。

時間外労働の上限規制

法定労働時間と36協定の基本

労働基準法に定められる法定労働時間は、1日8時間、週40時間です。これを超えて労働させる場合には、36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)を締結し、所轄労働基準監督署長へ届け出る必要があります。
時間外労働の上限は、原則として月45時間、年間360時間とされています。これを超える場合には特別条項付きの36協定を締結する必要があります。しかし、特別条項を結んだからといって無制限に時間外労働が認められるわけではなく、具体的な上限が設定されています。

時間外労働の上限規制の具体的内容

働き方改革によって建設業にも導入された上限規制は以下の通りです。

・原則:時間外労働は月45時間、年間360時間以内

・特別条項を締結した場合:年間720時間以内
 時間外労働と休日労働の合計:月100時間未満
 時間外労働と休日労働の2~6か月平均:月80時間以内
 月45時間を超えることができる回数:年6回まで

これらはいずれも法律上の上限であり、違反すれば6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

建設業における適用のポイント

建設業では、これまで上限規制の適用が猶予されていました。しかし、2024年4月から原則として他業種と同様に規制が適用されます。
ただし「災害時の復旧・復興事業」に関しては、単月100時間未満や複数月平均80時間以内といった制限は適用されません。とはいえ、通常業務においては原則通り規制が適用されるため、業界特有の「長時間労働だから仕方ない」という考えは通用しません。

適用猶予の背景

建設業が時間外労働規制の適用を猶予されていたのは、業界の特性によるものです。工期や取引慣行の課題等があり、時間外労働の上限規制の適用が5年間猶予され、その間にこうした課題の改善に取り組むことを求められました。
この背景を理解することで、現場の実務担当者は「制度は現場に合わせて運用する」ではなく、「働き方や職場環境をどう効率化するか」を考える視点が重要だと分かります。

建設業の現場で起きている課題と対応策

建設業の労働環境

建設業では、もともと休日数が少なく、週休1日の企業も少なくありません。1日8時間・週6日勤務では、6日目はすべて時間外労働となります。そのため、月45時間以内に収めることは容易ではありません。
さらに慢性的な人手不足が問題です。求人をかけても応募が来ない、若年層が定着しないといった課題を抱える企業が多く、結果として既存社員に負担が集中し、長時間労働の悪循環が続いています。

人手不足と長時間労働の構造

現在の建設業では、「人がいないから長時間労働になる」のではなく、「長時間労働だから人が集まらない」という構造が強まっています。若年層や女性は特にワークライフバランスを重視するため、過酷な労働環境では応募が集まりにくく、離職率も高くなります。
そのため、労働時間削減は単なる法令遵守ではなく、人材確保や定着のための戦略的課題でもあります。

実務対応で注意すべきポイント

時間外労働の把握と管理

実際の勤務時間の正確な把握が出発点です。タイムカードや勤怠システムで実態を可視化し、残業時間や休日出勤を正確に管理することが求められます。

労務管理体制の整備

現場責任者に対して、残業時間管理や休日取得の徹底を指示する体制を整えます。管理者自身の意識改革も欠かせません。

定期的な従業員への説明

従業員には、働き方改革の趣旨や時間外労働上限規制の内容を説明し、理解を得ることが必要です。透明性のある情報提供が信頼関係の維持につながります。

労働時間短縮に向けた取り組み

採用の強化、そして現スタッフの労務環境の改善による人材定着には、まずは労働時間の短縮に向けての取組みが必要です。

(1)労働時間の適正把握
(2)週休2日制の導入
(3)ICT活用による業務効率化の推進
(4)社会保険労務士等の外部専門家の活用

まとめ

建設業における時間外労働の上限規制はすでに施行され、今後は「対応しているかどうか」が企業評価の差につながる時代です。
長時間労働の是正は容易ではありませんが、労働時間の正確な把握、休日の見直し、業務効率化、外部専門家の活用などを段階的に進めることで、確実に改善可能です。
これを単なる法対応としてではなく、採用強化・人材定着の取り組みと捉え、持続可能な働き方へ転換していくことが求められます。2026年現在、建設業は「人手不足×働き方改革」の両方に取り組むことが経営上の必須課題となっています。




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投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月からすべての企業に「同一労働同一賃金」が適用されました。
「同一労働同一賃金」に対応するため、もし正社員と非正規雇用労働者(契約社員、パート社員等)の間に不合理な待遇差があるなら是正しなくてはいけません。
また少子高齢化を背景に、働き方の転換のための「働き方改革」が推進されています。
残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化、令和4年に続き令和7年4月と10月の育児介護休業法改正など、法律はめまぐるしく変わっています。
「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
法律に適した労務管理で、働きやすい職場環境を整え、従業員の定着や生産性の向上など、企業の末永い発展をサポートします。お困り事やお悩み事がありましたら、お気軽にご相談ください。