残業代の割増単価算出に必要な月平均所定労働時間とは?
給与計算をしているとほとんどの会社で、残業代の計算が必要になるはずです。その際に必ず必要となる残業代の割増単価。これを算出するためには、月平均所定労働時間がわからないといけません。
月平均所定労働時間とは?
1ヵ月の出勤日数は、月によって変動します。歴日数の少ない2月は少なくなりますし、祝日のない月は多くなったりします。月によって月給を19日で割って8時間で割ったり、21日で割って8時間で割ったりすると、月によって残業の割増単価が変わってしまいます。そのためどの月でも同じ割増単価とするために、月平均所定労働時間を使います。
1ヶ月あたりの月平均所定労働時間は、年間の所定労働時間を12ヶ月で割ることにより算出されます。
年間の所定労働時間は、以下の計算式で算出します。
【(1年の暦日数) - (年間休日数)】 × 1日の所定労働時間
1日の所定労働時間は、就業規則等に定められています。
一般的な会社に多いのは、9時から18時、お昼休み1時間で実働8時間ですが、9時30分から18時までの実働7時間30分というケースもあります。
計算例
まず年間休日数を確認しましょう。
年間休日数105日の場合
(365日ー105日)×8時間=2,080時間
2,080時間÷12ヵ月≒173時間
年間休日数125日の場合
(365日ー125日)×8時間=1,920時間
1,920時間÷12ヵ月=160時間
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月平均所定労働時間は毎年変わる
月平均所定労働時間は、厳密には毎年変わります。年間休日数がカレンダーの並びによっても変わるからです。どうしても月平均所定労働時間を変えたくない場合には、会社独自の休日を増減させて年間休日数を毎年同じにするか、月平均所定労働時間を実際の休日数から算出した時間より少なく見積もっておく方法もあります。
実際の残業代の計算例
以下の場合
年間休日105日
月平均所定労働日数173時間
月給20万円
残業時間 20時間
割増単価 20万円÷173時間×1.25≒1,446円
残業代 1,446円×20時間=28,920円
まとめ
月所定労働時間をずっと次のようにしていて、それを引き継いでいるというケースも多いです。
1日8時間×20日=160時間
1日8時間×21日=168時間
1日8時間×22日=176時間
176時間は、法定労働時間の週40時間を超えてしまう計算になりますのでNGです。
160時間、168時間は年間休日数から計算して労働者有利になっていればOKではあります。しかし計算根拠はしっかり確認した上で、労働者有利に設定していると言えるほうが良いでしょう。
もし年間休日数が120日あると168時間では単価割れします。
単価割れがおこると、未払い残業代が発生することになります。しっかりと確認していきたいですね。
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投稿者プロフィール
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柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
法律に適した労務管理で、働きやすい職場環境を整え、従業員の定着や生産性の向上など、企業の末永い発展をサポートします。
お困り事やお悩み事がありましたらお気軽にご相談ください。
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