休業が連続した時の平均賃金の計算方法

休業手当とは

労働基準法第26条では、休業手当について以下のように定められています。
「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」

使用者の責に帰すべき事由による休業とは、労働者側は働ける状態なのに、使用者側の問題により休まされることです。
災害などの不可抗力を除いて、「資材が足りなくて仕事ができない」とか「今日は暇だから帰って良いよ」などの場合が該当します。
この休業手当は、正社員のみならず、シフト制のパート、アルバイトにも適用されます。

平均賃金とは

「平均賃金」とは、原則その金額を計算する前の3ヵ月間の給与の平均額のことです。

「平均賃金」の計算が必要になる事由を「算定事由」といい、具体的には以下のような場合です。
1、解雇予告手当を支払うとき(平均賃金の30日分以上)
2、休業手当を支払うとき(1日につき平均賃金の6割以上)
3、年次有給休暇を取得した日について平均賃金で支払うとき
4、災害補償の金額を計算するとき
5、減給の制裁の制限額を計算するとき(1回の額は平均賃金の1日分の半額まで、減給の総額は支払い賃金総額の1割まで)

休業手当の計算方法

休業手当は、社員、パート、アルバイト等の違いにかかわらず、事業主の都合による休業があった場合には支払いが必要です。
原則は、算定事由の発生した日以前3ヶ月間(給料の締め日がある時は、直近の締め日以前3ヶ月間)に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(歴日数)で除した金額です。ただし、賃金が時給や日給、出来高給で決められており労働日数が少ない場合など、賃金総額を労働日数で除した6割に当たる額が、原則より高い場合はその額となります。

例)
3/16~4/15 4月分(歴日数31日)(労働日数17日) 170,200円
4/16~5/15 5月分(歴日数30日)(労働日数 9日)  93,400円
5/16~6/15 6月分(歴日数31日)(労働日数15日) 151,000円
合計               92日      41日  414,600円

①原則 414,600円÷92日≒4,506円52銭
②最低保証額 414,600円÷41日×0.6≒6,067円31銭

②の最低保障額が、①の原則を上回っているため②の額が、平均賃金となります。

仮に2日間休業し、2日分の休業手当を支払う場合
6067円31銭×0.6×2日≒7,281円以上となります。

休業が連続した時の計算方法

休業が2ヵ月以上連続した場合の計算はどうなるでしょうか。

算定事由発生日以前3ヶ月間に、次の期間がある場合は、その日数及び賃金額はその期間および賃金総額から控除します。

1、業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間
2、産前産後休業期間
3、使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
4、育児・介護休業期間
5、試用期間
休業が2ヵ月以上続いた場合は、3の使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間にあたり、その休業期間及びその賃金額を除いて計算します。

例)5月、6月に各5日間休業し、休業手当を受けた場合。
3/16~4/15 4月分(歴日数31日)200,000円
4/16~5/15 5月分(歴日数30日)186,236円(うち休業5日休業手当19,566円)
5/16~6/15 6月分(歴日数31日)187,311円(うち休業5日休業手当19,566円)

休業5日と支払われた休業手当額を除いて計算します。
200,000円+166,670円+167,745円=534,415円
534,415円÷82日(31日+25日+26日)≒6,517円25銭

休業手当を含んで原則の計算をすると、どんどん平均賃金額が少なくなっていきますので、注意しましょう。

シフト制の場合、休業日の特定が難しい!?

入社の際に、労働条件通知書や雇用契約書はもらっているでしょうか。
使用者は、労働者を雇い入れる際、労働日や労働時間、休憩、休日、給料などを記載した労働条件通知書を交付しなければいけません。学生アルバイトなど、これをもらわず口約束で働いている人もいるかもしれません。
この労働条件通知書がないと、自分がどのような条件で働いているのかはっきりとしません。
忙しいときは、毎日シフトに入っていたのに、急に減らされたという時に、困ってしまいます。
実際に「シフトが減っただけで、休業ではない」と休業手当を払わない会社もあります。
労働条件通知書や雇用契約書のない人は、いまからでも会社に言って作成してもらいましょう。
そして私の契約は、1日何時間、週何日勤務と、確認しておきましょう。

投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
法律に適した労務管理で、働きやすい職場環境を整え、従業員の定着や生産性の向上など、企業の末永い発展をサポートします。
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