フレックスタイム制度の導入と管理

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はじめに

フレックスタイム制度は、従業員が始業、終業の時間を自由に決められる制度です。この制度は、従業員に柔軟な働き方を提供し仕事と私生活のバランスを取りやすくすることで、従業員の労働環境に対する満足度を高め、企業の生産性向上にもつながります。しかし同時にフレックスタイム制度を運用する上でのデメリットも存在します。メリット、デメリットをしっかりと把握しておきましょう。

フレックスタイム制度の基本

フレックスタイム制度とは、従業員が自分の生活スタイルや業務の状況に応じて、始業・終業時間を柔軟に設定できる制度です。この制度には、「コアタイム」「フレキシブルタイム」があります。

コアタイムとは

コアタイムとは、1日のうち必ず勤務しなければいけない時間帯です。例えば10時~14時をコアタイムとして運用しているような企業も多く存在します。従業員は最低限この時間帯には勤務していなければいけませんが、10時出勤、14時退勤もできるということです。またコアタイムは設けないことも可能です。

フレシキブルタイムとは

フレシキブルタイムとは、従業員が働く時間を自由に選択できる時間帯です。上記のコアタイムの例では、10時までに出勤すればOK、14時以降は自由に退勤できることになります。

清算期間と総労働時間

フレックスタイム制度には清算期間があります。
これまで清算期間は1ヵ月までとされていて、1ヵ月の総労働時間の中で働き、以下の総労働時間を超えた場合には時間外労働となりました。

清算期間の歴日数 1ヵ月の法定労働時間の総枠
31⽇        177.1時間
30⽇        171.4時間
29⽇        165.7時間
28⽇        160.0時間


現在、清算期間の上限が「3か月」に延⻑されていて、月をまたいだ労働時間の調整により柔軟な働き方が可能となりました。

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制度の導入プロセス

フレックスタイム制度を導入するには、就業規則等への規定と労使協定の締結が必要です。

就業規則等への規定

フレックスタイム制を導⼊するためには、就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨を定める必要があります。

第○条 フレックスタイム制が適用される従業員の始業および終業の時刻については、従業員の⾃主的決定に委ねるものとする。

労使協定で定める事項

さらに、労使協定で以下の事項を定めます。

①対象となる労働者の範囲(全労働者、部署ごと、グループごと、各人ごとなど)
②清算期間(1ヵ月から3ヵ月)
③清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)
④標準となる1⽇の労働時間
⑤コアタイム(※任意)
⑥フレキシブルタイム(※任意)

※コアタイムとフレキシブルタイムの取り決めは任意ですが、フレキシブルタイムは深夜割増の発生する22時から翌朝5時は外したほうが良いでしょう。

労使協定の届出

清算期間が1ヵ月を超える場合には、労使協定を労働基準監督署への届出が必要です。清算期間1ヵ月のフレックスタイム制度でも、就業規則の変更により定めた場合には、変更された就業規則を労働基準監督署へ届出ます。

管理と運用

フレックスタイム制度は始業・終業時刻の決定を従業員に委ねる制度ですが、使用者が労働時間の管理をしなくてもよいわけではありません。実労働時間を把握して、適切な労働時間管理や賃⾦清算を⾏う必要があります。

清算期間3ヵ月のメリット

清算期間を3ヵ月とした場合、3ヵ月の中で労働時間を調整できますので、従業員にとってはありがたい制度です。例えば1ヵ月目に総労働時間を超えて時間外労働を行った。2か月目はちょうと総労働時間分働き、3ヵ月目に1ヵ月目の時間外労働分、勤務を少なくしてプライベートの時間に充てた。
3ヵ月での総労働時間は満たしているので、時間外労働も早退控除もない。

清算期間3ヵ月のデメリット

しかし管理する部署では大変です。3ヶ月間、前の月の労働時間を管理しておく必要が出てきます。給料計算を担当している人なら感じると思いますが、この管理は相当な負荷となります。

完全週休2⽇制の事業場におけるフレックスタイム制での対応

これまで、完全週休2⽇制の事業場でフレックスタイム制を導⼊した場合には、1⽇8時間労働であっても曜⽇の巡りによって、清算期間における総労働時間が、法定労働時間の総枠を超えてしまう場合がありました。

(例)⼟・⽇休みの事業場で、標準となる1⽇の労働時間8時間で、23日出勤となった場合。

清算期間における総労働時間 = 8時間×23⽇ = 184時間00分 に対し、
法定労働時間の総枠 = 40時間÷7×31⽇ = 177.1時間

完全週休2⽇制で残業のない働き方をしたにもかかわらず、時間外労働が発⽣することとなり、36協定の締結や割増賃⾦の⽀払いが必要となっていました。

この問題を解消するために、以下の改正が行われました。

週の所定労働⽇数が5⽇(完全週休2⽇)の労働者を対象として、労使協定を締結することによって、「清算期間内の所定労働⽇数×8時間」を労働時間の限度とすることが可能となります。
これによって、法定労働時間の総枠 = 8時間×23⽇ = 184時間 となります。

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フレックスタイム制における時間外労働

フレックスタイム制度であっても、時間外労働を⾏う場合には、36協定の締結・届出が必要となります。

清算期間における総労働時間をこえたら時間外労働

フレックスタイム制度では、⽇ごとの労働時間については従業員自らの決定に委ねられます。したがって、フレックスタイム制においては、清算期間を単位として時間外労働を判断することになるので、36協定において「1⽇」の延⻑時間について協定する必要はなく、「1か⽉」「1年」の延⻑時間を協定します。そして、清算期間を通じて法定労働時間の総枠を超えて労働させる場合には、36協定を締結し労働基準監督署⻑への届出が必要です。

月60時間超えの割増率

フレックスタイム制度でも、月の時間外労働が60時間を超えたら、50%以上の率で計算した割増賃⾦を⽀払う必要があります

まとめ

フレックスタイム制度は、従業員の労働環境の満足度を上げる制度ではありますが、運用によっては管理部門が大変になる場合もあります。また1日の労働時間が無駄に長くなりすぎたり、会議を行いたいのに人が揃わなかったりということがないように、しっかりと制度と運用についてのルールを従業員に周知することが大切です。


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投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
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