「保険関係成立届」「雇用保険適用事業所設置届」とは?人を雇ったら必ず加入!

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新規開業し、従業員を採用した場合に必ず必要な手続きが、労働保険への加入です。

労働保険には、業務上の傷病に対応する「労働者災害補償保険(労災)」と、従業員が退職した場合等に、従業員が給付を受けられる「雇用保険」があります。
雇用保険は、従業員の労働条件によっては新規開業時に加入しない場合もありますが、労災は同居の親族以外の人を雇えば必ず加入が必要です。

保険関係成立届

従業員を採用したら会社住所を管轄する労働基準監督署へ「労働保険保険関係成立届」を提出します。提出期限は、保険関係が成立した日(被保険者となる労働者を雇用した)から10日以内です。

必要な添付書類。
1、法人の場合=登記事項証明書
  個人事業の場合=事業主世帯全員の住民票写し
2、事業所の実在を確認できる書類
 ①自社ビル又は事業主所有家屋=不動産登記記載証明書又は公共料金請求書(領収書)
 ②賃貸家屋 =賃貸契約書
 *上記①②で確認が取れない場合は、最近事業所に届いた郵便物(消印のあるもの)
3、事業実態を確認できる書類=営業許可証、営業登録証、開設許可証、開業証明書等

概算保険料申告書とは

労災保険の保険料の納付は、4月から3月までの年度ごとに年1回労働者に支払った給料総額に各業種に応じた保険料率を掛けて算出し納付します。
新規開業時は、開業日からその年度の3月までの給料総額の見込み額から保険料を算出して納付します。この書類が「概算保険料申告書」です。

概算保険料申告書は保険関係が成立した日から50日以内に所轄の労働基準監督署、所轄の都道府県労働局、金融機関、社会保険・労働保険徴収事務センター(年金事務所内)のいずれかに提出となっていますが、保険関係成立届とあわせて提出してしまいましょう。

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年に1度の年度更新

開業初年度に概算保険料申告書を提出し、その年度終わりの3月までの保険料は納付しておきます。そして年度が終わったところで、4月から3月の給料総額を集計して確定保険料を算出し、概算で納付していた保険料との差額を精算します。そして改めて翌年度の概算保険料として、原則、確定した保険料と同額を概算保険料として納付しておきます。
この年度更新の手続きは毎年6月1日から7月10日(土日祝日にあたる場合は翌営業日)までに行い、現金納付の場合は納付まで行います。

雇用保険適用事業所設置届とは

正社員、パート、アルバイト等の名称や雇用形態にかかわらず、原則以下に該当する労働者を採用した場合には「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を会社の管轄ハローワークに提出します。ただし法人の役員、事業主と同居している親族は、原則対象となりません。

1、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、
2、31日以上の雇用見込みがある。

必要な添付書類。
ハローワークでは「適用事業所設置届」の提出と同時に「被保険者資格取得届」を提出しますので、労災保険と同様の書類にプラスして、以下が必要です。

1.労働基準監督署で受け付けてもらった保険関係成立届
2、雇い入れ日の確認できる書類=労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、雇入通知書
3、労働条件を確認できる書類(パート・アルバイトの場合)=労働条件通知書等

書類を持ち込み際は、労働基準監督署、ハローワークの順に行きましょう。

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従業員に用意してもらうもの

労災はそれぞれの従業員名は記載しませんので、従業員に用意してもらうものはありません。
雇用保険は、前職で雇用保険に加入していた場合は、
1、雇用保険被保険者がわかるもの
2、マイナンバー

が必要になります。
1は雇用保険被保険者を持っていれば良いですが、ない場合は前職名からハローワークで検索してもうらうことも可能です。

まとめ

労災保険は、業務上や通勤での万が一の事故による負傷、疾病、傷害、死亡等に対して必要な給付を行ってくれます。
雇用保険は、従業員の退職等に対して必要な給付が行われます。
また人材に関わらる各種助成金は、労災保険、雇用保険の加入事業者に対して行われます。人を雇ったら忘れずに、速やかに加入しましょう。


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投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
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