休憩を交代で取らせるときは、「 一斉休憩の適用除外に関する労使協定」が必要です。
新型コロナウィルス対策として密を避けるためテレワークも促進されましたが、その後通常出社に戻った会社も多いようです。東京に向かう朝の通勤電車も結構込み合っています。
厚生労働省から出されている「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」の中に、<昼休みの時差取得>があります。
昼休みの時間を分散させることによりエレベーターや食堂に人が込み合うのを避けようということですが、この昼休みを交代で取らせるために必要な労使協定があります。
休憩時間と一斉付与の原則
労働基準法第34条第1項は、「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」と規定しています。
そして、同条第2項では、「前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。」と規定しています。
▼休憩時間の原則について詳しくはこちらの記事をどうぞ
就業時間9時~18時、昼休憩12~13時の会社も多いと思います。この昼休憩を交代で取らせるのに必要な労使協定が、「一斉休憩の適用除外に関する労使協定書」です。
人事労務に関する役立つ資料を無料でダウンロード!→こちらから
一斉休憩の適用除外に関する労使協定書で定めること
この協定書の中で定めるのは、
①対象者の範囲
②新たな昼休みの時間
の2点です。部署別や班別等で、取得する休憩時間帯を決め、労使協定で締結します。
第1班:午前11時~正午
第2班:正午~午後1時
第3班:午後1時から午後2時
この一斉休憩の規定は、次の業種には適用されていません。
①運輸交通業 ②商業 ③金融・広告業 ④映画・演劇業 ⑤通信業 ⑥保健衛生業 ⑦接客娯楽業 ⑧官公署(現業部門を除く)
まとめ
「一斉休憩の適用除外に関する労使協定書」は届出の義務はありませんが、従業員10人以上の会社で就業規則を変更した場合には、就業規則変更の届出が必要になります。
以前からある労使協定ですが、あまり知られていないのではないでしょうか。45分、または1時間の休憩時間がきちんと取れていれば、あまりトラブルにはならないかとは思いますが、規定がある以上、労務担当者は確認しておきましょう。
中小企業の経営者様必見!!
人事労務に関する役立つ資料が無料でダウンロードできます!
日々の業務にお役立てください!
→資料ダウンロードはこちら
投稿者プロフィール
-
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
法律に適した労務管理で、働きやすい職場環境を整え、従業員の定着や生産性の向上など、企業の末永い発展をサポートします。
お困り事やお悩み事がありましたらお気軽にご相談ください。
最新の投稿
- 労務管理2023年12月1日フレックスタイム制度の導入と管理
- 労務管理2023年10月19日「精神障害の労災認定基準」にカスハラを追加
- 労務管理2023年8月1日医師の時間外労働上限規制!特例水準指定が必要なのは?宿日直許可とは?
- 給与計算2023年7月3日賞与を支給した際の手続き