雇用保険料の2段階引き上げ。給料の変更はいつから?

「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が令和4年3月30日に国会で成立しました。

この引き上げの背景には、新型コロナウィルスの影響があります。
労働者の雇用を維持する雇用調整助成金や、失業して再就職活動を行う方への失業給付は、雇用保険料を財源として支給されており、新型コロナウィルスの影響が長期化したことにより、その財源が大幅に縮小し、これまでの雇用保険の積立金がほぼ底をつくほどとなりました。

この引き上げはやむを得ないかもしれませんが、令和4年度は2段階での引き上げとなり、実務担当者にはやっかいな引き上げ方法となりますので、注意が必要です。

令和4年4月からは

令和4年4月から引き上げとなるのは、事業主負担分のみです。

雇用保険二事業の保険料率が、これまでの1000分の3から0.5引き上げられて、1000分の3.5となります。

雇用保険二事業には、雇用安定事業と、能力開発事業があり、就労支援や教育訓練等の事業を行っています。事業主のみの負担で、令和4年9月までは、労働者の給料から徴収する雇用保険料に変更はありません。

令和4年10月からは

令和4年10月からは、事業主分、労働者分とも引き上げとなります。

失業等給付・育児休業給付にかかる事業主負担分、労働者負担分とも1000分の2.0づつ引き上げとなります。
建設等以外の一般の会社で、労働者1000分の5、事業主1000分の8.5(失業・育児分1000分の5、二事業分1000分の3.5)の合計1000分の13.5となります。

令和4年度雇用保険料率のご案内

令和4年10月の給料締め日以降は、労働者から徴収する雇用保険料は1000分の5となります。給料250,000円の人が徴収される雇用保険料は、750円から1,250円になります。改めて見ると大きい負担ですね。ちなみに残業代や交通費も、雇用保険の対象となりますので、注意してください。

年度更新の対応

会社の実務担当者は、徴収する雇用保険料の変更のみではなく、年度更新という仕事があります。
労災保険料、雇用保険料の計算のもとになる労働者の給料総額を集計して、申告納付します。

令和3年4月分から令和4年3月分までの給料総額の計算と、令和4年度の概算保険料を立てます。今年は、この概算保険料の雇用保険分の計算が2段階集計となります。

令和4年4月1日~9月30日      1000分の9.5
令和4年10月1日から令和5年3月31日 1000分の13.5

でそれぞれ、集計したものを合計して申告します。来年度の確定保険料集計も必然的に2段階集計になりますから大変ですね。。。

まとめ

労働者から徴収する雇用保険料は令和4年10月の給料締め分から変更。
年度更新の概算保険料は、2段階集計。
令和5年に行う令和4年度の確定保険料の集計も必然的に2段階集計となる。

実務担当者の負担が増えますね。
事業の立ち上げ当初は、社長が自身で行っているケースもありますが、雇用保険に加入すべき人を加入させていなかったり、けっこう間違っています。自身の事業を進めながら、これらの制度を理解して諸々手続きを進めるのは、やはり大変です。

労災保険、雇用保険の手続きは社会保険労務士の専門分野です。ぜひご活用ください。

投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
法律に適した労務管理で、働きやすい職場環境を整え、従業員の定着や生産性の向上など、企業の末永い発展をサポートします。
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