令和4年10月から雇用期間が2ヵ月以内でも社会保険へ加入。 

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「うちの会社は、試用期間が終わったら社会保険に入れている。」
「週30時間働いているパートがいるけど、本人が社会保険加入はしたくないと言っている。」

中小企業では、まだまだよく聞くフレーズですが、正しくありません。
加入要件を満たせば、入社日から当然に加入しなければいけません。

社会保険加入要件

  • 強制適用事業所
    株式会社などの法人の事業所:社長のみでも報酬があれば、社長本人が加入。
    個人の事業所:農林漁業、一部のサービス業(飲食業、理美容業など)を除く従業員が常時5人以上いる事業所。事業主は加入できない。
  • 被保険者
    上記の強制適用事業所で働く正社員や法人の代表者、役員等は加入して被保険者になります。
    契約社員、パート等でも、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上の人は、被保険者となります。

社会保険の適用対象とならない人

① 日々雇い入れられる人。
(1カ月を超えて引き続き使用されるようになった場合は、その日から被保険者となる。)
② 2カ月以内の期間を定めて使用される人。
(所定の期間を超えて引き続き使用されるようになった場合は、その日から被保険者となる。)
③ 所在地が一定しない事業所に使用される人。
④ 季節的業務(4カ月以内)に使用される人。
(継続して4カ月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者となる。)
⑤ 臨時的事業の事業所(6カ月以内)に使用される人。
(継続して6カ月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者となる。)

この②の人が、令和4年10月から加入対象となります。

社会保険の適用拡大

1週間の所定労働時間が正社員の4分の3未満でも

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 勤務期間が1年以上見込まれること
  3. 月額賃金が8.8万円以上
  4. 学生以外
  5. 従業員501人(令和4年10月~101人、令和6年10月~51人)以上の企業に勤務していること

5つの要件を全て満たす方は、被保険者になります。

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雇用期間が2カ月以内の場合の取り扱いが変更

また上記2.の勤務期間が1年以上見込まれることは、令和4年10月から撤廃されます。
これまでは、臨時に使用される者で、2ヵ月以内の期間を定めて使用される人は、社会保険加入の適用除外とされていました。(所定の期間を超えて引き続き使用されたら加入)

令和4年10月からは、当初の雇用期間が2ヵ月以内であっても、以下のいずれかに該当する人は、契約当初から社会保険加入必須となります。

  1. 就業規則、雇用契約書等で、その契約が「更新される旨」、「更新される場合がある旨」の記載がある場合。
  2. 同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、更新されて実績がある場合。

つまり、当初から2ヵ月以内限定で更新もなしという雇用契約以外は、入社日から加入となります。

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まとめ

社会保険料の負担が大変という話はよく聞きます。加入義務があることは承知している社長も一定数います。
しかし、「うちは試用期間が終わった3ヵ月目から社会保険に入れている」「その人が辞めないで続くかどうかわからないから」というのは、求職者から見て魅力的な会社でしょうか。
「それだけ退職者が多い会社」「他にも法律を守らず何か働きにくさのある会社」と認識するでしょう。

採用当初の社会保険料も採用に必要な費用考え、もし短期間で辞めるのであれば、なぜ辞めるのかの根本原因を突き詰めて改善する。そちらにシフトしていかなければ、今後の人材採用、定着にも大きく影響します。

本人が加入を希望しないという話もよく聞きますが、そこは各家庭でどのような働き方を選択するのか、加入のメリットなどの情報提供が必要です。

採用支援や、従業員のライフプランに対する情報提供などに、社会保険労務士の活用をお勧めします。


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投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
法律に適した労務管理で、働きやすい職場環境を整え、従業員の定着や生産性の向上など、企業の末永い発展をサポートします。
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