新型コロナウィルスの影響で退職したら失業保険はすぐもらえるの!?

失業保険
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新型コロナウィルスの影響により会社を辞めざるを得なかった人は、すぐに失業保険を申請しましょう。退職理由によっては、3カ月(令和2年10月以降は2ヵ月)の給付制限期間なしで失業保険を受けることができます。

失業保険について詳しくみていきましょう。

求職者給付とは?

俗にいう失業保険は、正式には「求職者給付」といって、雇用保険からの給付金です。
求職者給付の中にも、基本手当、受講手当、通所手当、技能習得手当などがあり、一般的に失業したらもらえるお金(失業保険)は、基本手当です。
基本手当を受けるには、原則とし離職の日以前2年間に、12カ月以上の被保険者期間が必要です。まずご自身が雇用保険に加入しているか確認しましょう。
また月に11日(または80時間)以上勤務していないと、1カ月にカウントされませんので注意しましょう。

雇用保険の加入条件は?

会社で健康保険、厚生年金に加入している人は、雇用保険にも加入していて、給料から「雇用保険料」が引かれています。では、パート勤務の人はどうでしょうか。
雇用保険に加入するのは、以下の条件を満たした人です。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。

簡単にいうと、この2つです。
パート勤務でも、この2つを満たせば雇用保険に加入することになりますが、扶養内勤務をしている人は、自分が雇用保険に加入しているかどうかあまり気にせず、加入できるのにしていないケースも見受けれらます。ぜひ加入しましょう。

例えば、当初は週20時間未満で勤務してい人が、途中から週20時間以上で、勤務するようになったけど、事業主が加入手続きをし忘れていたというケースもあります。
扶養範囲で勤務している人でも、収入が年間130万円(月約10万8千円)未満なら健康保険と年金は、扶養内のままでいられます。

週20時間以上勤務することになったら雇用保険の加入の有無を事業主に確認しましょう。

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基本手当の受給期間と受けられる日数、額

基本手当が受けれれるのは、離職の日から原則1年間です。これを受給期間といいます。この1年間のうちに、それぞれの所定給付日数分の基本手当を受けることができます。
所定給付日数は、雇用保険に加入していた期間、年齢、離職理由によって違います。

①自己都合退職や、定年退職で65歳未満の人。

加入期間10年未満で、90日。
10年以上20年未満、120日。
20年以上、150日。

②倒産、解雇等で離職した人。(特定受給資格者、特定理由離職者)

コロナの影響で、会社が倒産、または人員整理のための解雇、退職してほしいと言われ、やむを得ず退職を承諾したという場合。この場合、離職の日以前2年間に12カ月以上必要だった被保険者期間が、6カ月以上あれば、求職者給付受給の対象となります。また通常、自己都合退職の場合、ハローワークで求職の申し込みをした後、7日間の待期期間+2カ月の給付制限期間がありますが、この2カ月の給付制限期間なく、基本手当を受けることができます。

雇用保険加入期間が1年未満だと、所定給付日数は、年齢に関係なく90日ですが、1年以上加入していれば、年齢と加入期間に応じて、90日から最大330日となります。

例えば、30~35歳で雇用保険加入期間が5年の場合、180日です。
自己都合退職なら90日(3カ月)のものが、会社都合退職なら180日(6カ月)分の基本手当が受けられ、倍の違いがあります。
コロナの影響で退職してもらえないかと言われ、退職を承諾した場合の離職票は、必ず会社都合の退職にしてもらいましょう。

基本手当の額は、離職直前の6カ月に支払われた賃金の合計額を180日で割った金額(賃金日額)の約80~45%(給付率)です。この給付率も、離職時の年齢、賃金日額に応じて変わりますので、だいたいもらっていた給料額の半分くらいと考えておけば良いでしょう。

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コロナの特例

令和2年2月25日以降に、以下の理由により離職した方は「特定理由離職者」として、雇用保険求職者給付の給付制限を受けません。既に給付制限期間中の方も、給付制限期間が適用されない特例措置があります。

  • 同居の家族が新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより看護または介護が必要となったことから自己都合離職した場合
  • 本人の職場で感染者が発生したこと、または本人もしくは同居の家族が基礎疾患を有すること、妊娠中であることもしくは高齢であることを理由に、感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合離職した場合
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で子(小学校、義務教育学校*1、特別支援学校*2、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などに通学、通園するものに限る)の養育が必要となったことから自己都合離職した場合 *1 小学校課程のみ  *2 高校まで

給付日数の延長(個別延長給付の特例措置)

令和2年6月12日以降に基本手当の所定給付日数を受け終わる方は、60日(35歳以上45歳未満の方で所定給付日数270日の方 、45歳以上60歳未満の方で所定給付日数330日の方については30日)給付日数が延長されます。
離職日 対象者
~令和2年4月7日(緊急事態宣言発令以前)離職理由を問わない(全受給者)
令和2年4月8日~令和2年5月25日(緊急事態宣言発令期間中)特定受給資格者及び特定理由離職者
令和2年5月26日~(緊急事態宣言全国解除後)新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた特定受給資格者及び特定理由離職者

シフト勤務の労働者

以下に該当する方は「特定理由離職者」または「特定受給資格者」として認められる場合があります。

  • 労働契約に具体的な就労日数等の定めがある場合
    ・具体的な就労日数が労働条件として明示されている一方で、シフトを減らされた場合
    ・契約更新時に従前の労働条件からシフトを減らした労働条件を提示されたため、更新を希望せずに離職した場合
  • ①以外でシフトの減少により週の労働時間が20時間を下回ることとなる場合
    令和3年3月31日以降に、以下の理由により離職した方は「特定理由離職者」として、雇用保険求職者給付の給付制限を受けません。
    ・シフト制労働者のうち、新型コロナウイルス感染症の影響により、シフトが減少し、概ね1カ月以上の期間、労働時間が週20時間を下回った、または下回ることが明らかになったことにより離職した場合

求職者給付金の申請の流れ

  1. 退職したら会社に離職票をもらう。
    給料の締め日で退職したら最後の給料額の確定後に離職票発行となりますので、手元に離職票が届くのは、最後の給料支給日後、2週間くらいみておきましょう。
  2. 必要書類を持って、自分の住所の管轄ハローワークで「求職の申し込み」をする。
    離職票の他、身分証明書、印鑑、写真、マイナンバーの写し、銀行の通帳などが必要です。求職者給付は、すぐに働ける状態にあり、働く意思、能力があり、積極的に求職活動を行える人でないと受けられません。
    病気や妊娠等ですぐに働くことができない場合には、受給期間の延長をすることができます。
  3. 失業の認定を受ける。
    求職の申し込み後は、ハローワークで職業講習会や雇用保険説明会を受け、求職活動を行い、4週に1回、失業認定申請書を提出します。この期間の就労の有無、求職活動の実績などを確認して失業の認定がされれば、その後1週間程度で基本手当の振り込みとなります。

まとめ

コロナの影響により従業員に辞めてもらうしかない会社も増えてきています。会社の意向で退職した場合は、「一身上の都合により退職します」という退職届は出してはいけません。必ず会社都合退職にしてもらい、少しでも早く基本手当を受け、最低限の生活は維持しつつ、次の安定した仕事を探しましょう。


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投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
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