令和3年最低賃金28円引上げ!業務改善助成金を活用しよう!!

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令和3年10月から最低賃金が28円を目安に引き上げられ、東京1,041円、神奈川1,040円となります。コロナ禍にあって、事業者には厳しい決定です。
これに対応した業務改善助成金が令和3年8月からコロナの影響を受けた事業者には「特例」を設けています。

業務改善助成金とは

業務改善助成金とは、正式名称「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金」といい、事業所内の最低賃金を引き上げに際しての負担軽減を目的としています。
ただし、利用するには事業所内最低賃金を引き上げるとともに、生産性向上のための設備投資が必要です。その設備投資にかかる費用が助成されます。

「最低賃金も上げたうえに、設備投資の余裕なんてないよ」という声が聞こえてきそうです。

しかし最低賃金引上げは行われます。何か導入する予定があるのであれば、ぜひ活用したいところです。

対象となる経費

対象となる設備投資の例

・POSレジシステムによる在庫管理業務の短縮
・リフト付き特殊車両による送迎時間の短縮
・顧客管理、会計、給料等のシステムによる業務の効率化
・専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上

設備投資で業務を効率化し生産性を向上することで、上がる賃金に対応しましょう」というのがこの助成金の目的です。

注意すべき点は、通常のパソコン・タブレット・車は対象外となっているところです。
ただし、令和3年8月から特例が発表されています。

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最低賃金引上げコース区分と助成率

特例の前に、最低賃金引上げのコース区分、助成率を確認しましょう。
20円、30円、45円、60円、90円の引上げコースがあり、いくら引き上げるのかによって、助成上限額も変わります。

①事業場内最低賃金900円未満 4/5(生産性要件を満たした場合9/10)
②事業場内最低賃金900円以上 3/4(生産性要件を満たした場合4/5)

詳細はこちら(業務改善助成金リーフレット)

令和3年8月からの特例

①事業場内最低賃金900円未満の事業所
②売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3ヵ月の月平均値が、前年または前々年の同じ月に比べて30%以上減少している事業者

①②のいずれかに該当する事業者は、各コース引き上げる労働者数10人以上の区分が適用されます。
また②に該当し引き上げ額30円以上の事業者は、パソコン、タブレット等の新規購入も対象となります。

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その他、活用にあたっての注意点

・就業規則に事業所内最低賃金を定めること
・事業場内最低賃金を引き上げる労働者は、雇用後3ヵ月経過している労働者であること。
・交付申請書、業務改善計画を労働局に提出し承認を受けてから設備投資を行うこと。
・助成対象経費の最低額は10万円。2つ足して10万円以上となる場合でも可。
・設備投資の対象物品は、2ヵ所以上から見積りを取ること
・次のようなものは本助成金の対象になりません。

①単なる経費削減を目的としたもの(LED電球への交換等)
②不快感の軽減や快適化等を目的とした職場環境の改善(エアコンの設置、机、椅子の増設)
③通常の事業活動の経費(事務所借料、光熱費、交際費、広告宣伝費等)
④老朽化したものの買い替え
⑤法令等で設置が義務付けられているのに設置していなかったもの

申請期限

申請期限は令和4年1月31日です。
この日までに交付申請書を提出し、令和4年3月末までに事業完了(賃金引上げ、設備導入完了)することが必要です。
ただし、助成金が交付されるためには賃金が引き上げられた実績の確認も必要です。給料が末締め翌月払いの事業所は、その実績確認も翌月になってしまいます。
国の事業ですから予算ありきですし、できるだけ年度内の早いうちに事業完了までいくように計画を立てておきましょう。

まとめ

このコロナ禍での最低賃金引き上げは、中小企業にとって厳しい決定です。使えるものは使って、業務効率化、生産性向上を進めるしかありません。
令和3年10月以降は引き上げられた新たな最低賃金が適用されますので、その最低賃金額を基準としての賃金引き上げが必要です。
導入予定のものがあるのであれば、早めに申請しましょう。


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投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
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