年金未納は損!?受給資格期間10年で年金がもらえるようになった!
「受給資格期間」とは?
2017年8月1日からこれまで25年以上必要だった年金の「受給資格期間」が、10年に短縮されました。これによって、すでに65歳以上で年金を受給できてないかった人、約40万人が、新たに年金を受給できるようになりました。
受給資格期間とは、国民年金加入期間のうち、以下をあわせた期間です。
「保険料納付済期間、免除期間、厚生年金加入期間、カラ期間(合算対象期間)」
カラ期間(合算対象期間)とは、
・1991年以前に学生であって、国民年金に任意加入しなかった期間。
・1986年以前に、会社員の配偶者(20歳以上60歳未満)であって、国民年金に任意加入しなかった期間。
などが該当します。昔の年金制度は、全国民が強制加入ではなく、入りたい人は入れる任意加入の期間があり、その時に任意加入しなかった期間は「受給資格期間」に算入されることになりました。しかし保険料は払っていないので、もらえる年金額は増えません。
もらえる年金額は?
国民年金に20歳から60歳までの全期間(480ヵ月)加入し、保険料を支払った場合にもらえる満額の年金(老齢基礎年金)額は、780,900円(令和3年度額)です。
10年(120ヵ月)だけ保険料を支払った場合は、780,900円÷480ヵ月×120ヵ月=195,225円
月額2万円にもなりません。
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将来もらえる年金額を増やそう
老齢基礎年金だけでは、保険料を全期間40年支払っても、もらえる年金月額は6万円ほどです。
これだけでは生活は厳しいですよね。できるだけ将来もらえる年金額を増やしましょう。
方法1、第2号被保険者になる。
一般的な会社員は、厚生年金に加入し第2号被保険者になります。第2号被保険者になると、将来、老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金がもらえます。年金額は、加入期間とその間の給料額によって変わります。
自営業、フリーランス等の個人事業の人は、国民年金のみ加入の第1号被保険者。会社員の配偶者で扶養されている人は、第3号被保険者です。
第3号被保険者は、保険料がかかりません。多くの人が扶養内でいられる年収130万円未満でのパート勤務をしているのは、このためですね。
もらえる老齢厚生年金額は
「平均報酬月額÷1,000×7.125×2003年3月までの被保険者期間の月数 + 平均報酬額÷1,000×5.481×2003年4月以降の被保険者期間の月数」
と何やら難しい計算ですが、ざっくりとした計算方法があります。
・老齢基礎年金:19,500円×加入年数
満額で780,900円ですので、40年で割ると1年あたり約19,500円の老齢基礎年金がもらえます。
・老齢厚生年金:年収(賞与含む)×0.55%×加入年数
例えば、年収400万円で20歳から60歳まで会社員で働いた場合
老齢基礎年金 19,500円×40年=780,000円
年収400万円×0.55%×40年=880,000円
合計1,660,000円
ずっと国民年金のみの人に比べ、約2倍に増えることになります。
方法2、未納の保険料を支払う。
支払っていない保険料は過去2年分まで支払い可能です。
また、きちんと免除申請して免除されている期間なら過去10年まで支払い可能です。
1年多く支払うごとに年間約19,500円の年金が増えます。
また、年金は老齢年金だけではなく、障害年金や、遺族年金があります。未納でいると、障害年金や遺族年金が受給できなくなる恐れがあります。経済的な理由でどうしても保険料の支払いできない場合は、未納のままにしておかず、免除を申請しましょう。
方法3、付加保険料を支払う。
第1号被保険者は、国民年金保険料16,610円(令和3年度)に加え、月額400円の付加保険料を支払うことができます。
付加保険料を40年支払った場合、もらえる年金額は、200円×480ヵ月(40年)=96,000円
増えます。
方法4、60歳から65歳まで国民年金に任意加入する。
国民年金に加入する期間は、原則20歳以上60歳未満です。しかし60歳時点で、保険料納付済期間が480ヵ月に満たない場合は、国民年金に任意加入して満額の年金に近づけることができます。
60歳から65歳までの5年間、任意加入して保険料を支払った場合、もらえる年金額は、
19,500円×5年=97,500円
増えます。
方法5、パートでも厚生年金に加入する
家族で働き方を相談しなければいけませんが、パート勤務でも週30時間以上で勤務すると、社会保険に加入することになります。
また、従業員数501人以上の企業では、
- 週20時間以上の勤務
- 1年以上継続して雇用されることが見込まれる(2ヵ月以上の雇用見込に改正されます)
- 月額賃金が8.8万円以上
- 学生でない
の条件を満たせば、健康保険、厚生年金に加入することになります。
ご自身で保険料を負担することになりますが、世帯でもらえる年金額は増えます。
ただし保険料がかかる分、手取りは減りますので注意しましょう。
時給1,020円、1日6時間、週5日勤務の場合、13万円くらいの給料になります。
かかる健康保険料、厚生年金保険料はあわせて19,000円ほど。
パートで社会保険に入るなら手取りも考え、週30時間以上で勤務したいところです。
方法6、自営業、フリーランスの人は、法人化する
個人事業を法人化することで、社長であっても社会保険に強制加入となります。
自営業、フリーランスの人は事業が軌道にのったら法人化を検討しましょう。かかる税負担や費用を考慮する必要がありますが、健康保険料は扶養家族分はかからないなどのメリットもあります。ぜひ検討してください。
まとめ
受給資格期間が10年で年金がもらえるようになったとはいえ、それだけでは老後の生活は安心できません。
できる限りもらえる年金は増やしつつ、貯蓄(資産)も増やせるようにライフプランを練っていきましょう。
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投稿者プロフィール
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柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
法律に適した労務管理で、働きやすい職場環境を整え、従業員の定着や生産性の向上など、企業の末永い発展をサポートします。
お困り事やお悩み事がありましたらお気軽にご相談ください。
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