労働者を募集、採用する時の注意点!

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労働者を採用選考する際の基本的な考え方のポイントは、
・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適性・能力に基づいて行うこと

の2点です。

家族状況や生活環境といった、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しない。
社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などを収集しない。
など、雇用する側が公正な採用選考を行うことで、誰でも自由に自分の適性・能力に応じて職業を選べることが大切です。

この基本を踏まえた上で、まずは求人票を作成しましょう。

労働条件の明示

ハローワークでの求人票や、求人広告、自社ホームページ等で求人を行う際には、必ず以下の労働条件の明示が必要です。

  • 雇用形態:正社員、パート
  • 業務の内容:営業、事務
  • 契約期間:期間の定めなし
  • 試用期間:あり(3ヶ月)
  • 就業場所:本社(神奈川県横浜市○○)
  • 就業時間:9:00~18:00
  • 休憩時間:12:00~13:00
  • 休日:土・日・祝日
  • 時間外労働:あり(月平均20時間)
  • 賃金:月給○○円(試用期間中は○○円)
    固定残業代を採用する場合は、以下も明示
    ①基本給○○円
    ②固定残業手当○○円(時間外労働の有無に関わらず、○○時間分の時間外手当として○○円を支給)
    ③○○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
  • 加入保険:労災保険・雇用保険・厚生年金保険・健康保険
  • 労働者を雇用しようとする者の氏名又は名称に関する事項
  • 労働者を派遣労働者として雇用しようとする旨
  • 就業の場所における受動喫煙を防止するための措置に関する事項

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労働条件を明示するに当たって遵守すべき事項

・明示する労働条件は、虚偽又は誇大な内容としない。
・試用期間中の労働条件が本採用後の労働条件と異なる場合は、それぞれの労働条件を明示する。
・当初明示した労働条件が変更される場合は、その確定後速やかに変更内容を明示する。

求人募集の段階での労働条件は目安であり、特に賃金について必ずその条件で採用しなければいけないわけではありません。
・30万円で募集したが、面接で28万円スタートで提示。
・20万円~25万円で募集し、面接で23万円スタートで提示。
・募集の時に明示していた営業手当は、付けないで提示。
・募集の時に付けていなかった営業手当を新たに付けて提示。
のように初回の面接等で、求職者と最初に接触する時点までに、全ての労働条件を明示すべきとされています。

つまり求人票や求人広告での賃金については多少幅を持たせても、面接の段階では確定賃金を明示することが必要となります。その明示された労働条件で求職者が入社を決めれば、雇用契約書を締結する流れとなります。

変更明示にあたっての注意点

・変更の明示を行う場合でも、安易な変更はできません。月給50万と募集しておいて、面接では25万と提示するなどは、虚偽、誇大とみなされます。
・新規学卒者(卒業見込み者)に対しては、内定までに書面により労働条件の明示が必要です。
・労働者が変更内容を認識した上で、労働契約を締結するかどうか考える時間を確保するため、可能か限り速やかに変更内容を明示する。
・変更明示を受けた求職者から、変更した理由について質問された場合には、適切に説明する。
・当初明示した労働条件の変更を行った場合には、継続して募集中の求人票や求人広告も適切に修正する。

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採用選考時に配慮すべき事項

適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、身元調査などの実施や、合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断を実施すること等は、就職差別につながるおそれがあり適切ではありません。

本人に責任のない事項の把握

・本籍や出生地に関すること (「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させること)
・家族の職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産などに関すること
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること

本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握

・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

男女雇用機会均等法に抵触する質問(女性に限定しての質問)

・結婚、出産しても働き続けられますか。
・何歳ぐらいまで働けますか。
・今、つきあっている人はいますか。
・結婚の予定はありますか。

まとめ

人を採用するにあたっては、就職差別につながらないよう基本的な配慮をしながら進めなければいけません。
面接時点ではあくまで求職者と求人者であり、主従関係ではありません。応募者が不採用となったとしても、その方は将来の顧客かもしれません。以前は圧迫面接なども聞かれましたが、いまそのようなことがあればSNSの時代、大手企業に限らず会社の評判はガタ落ちでしょう。
その他、会社側が基本的な労働時間や休日を理解しておらず、常に長時間労働の職場、年間休日が極端に少ない、この業界は仕方がないと改善しない等では、良い人材は集まりません。

求職者が応募したくなる会社をぜひ目指していきましょう。


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投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
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