改正育児介護休業法。育児休業の申し出は拒否できません!
育児休業給付金とは
育児休業給付金は、育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間(雇用保険に加入していた期間)が12ヵ月以上ある被保険者が受けられます。12ヵ月の各月は11日以上の出勤日数が必要です。
また有期雇用労働者も、育児休業開始時において、子が1歳6か月までの間に労働契約が更新されないことが明らかでなければ、受給可能です。
令和3年の改正育児介護休業法(令和4年から順次施行)において、これまでの有期雇用労働者の育児休業取得の条件であった「引き続き雇用された期間が1年以上」という条件が撤廃されます。しかし「引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可」ということで、結局入社して1年は勤務が必要と考えたほうが無難なようです。
大きな改正内容
- 男性の育児休業取得促進のための措置(子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能)
- 育児休業の分割取得(2回まで)
- 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(研修、相談窓口設置等)
- 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
このように、事業主はこれまで以上に、従業員が育児休業を取得しやすい環境を整備することが求められます。
いつまで受けられる?
原則、養育している子が1歳となった日の前日まで。
ただし、子が1歳になる前に職場復帰した場合は復帰日の前日まで。保育園に入れない等の場合、最大2歳となった日の前日まで延長できる場合があります。
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もらえる金額は?
「休業開始時賃金日額×支給日数67%(ただし、育児休業の開始から6か月経過後は50%)」
平均して月額20万円程度の場合、育児休業開始から6か月間の支給額は月額13.4万円程度、6か月経過後の支給額は月額10万円程度です。
もし育児休業を拒否されたら?
育児・介護休業法では「事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」と規定されています。
不利益な取扱いの例
以下のような事由を理由として
- 妊娠、出産する
- 妊婦検診などの母性健康管理措置を受ける
- 産前産後休業を取得する
- 時間外労働、休日労働、深夜労働をしない
- 短時間勤務をする
- 子の看護休暇を取得する
以下のような扱いをすることは禁止
- 解雇、雇止め
- 契約更新回数の引き下げ
- 正社員から非正規社員、パート社員とするような契約内容変更の強要
- 降格、減給、不利益な配置変更
- 仕事をさせない
中小企業では、育児休業の取得実績がない、規定もないという場合もまだまだ多いです。
昔は、「寿退社」という言葉があるように、女性は結婚したら退職し家庭に入るものという考えがありました。年金制度も、夫が働き、妻は専業主婦のようなケースを基準に作られていました。
このような考えの社長もまだまだいるかもしれません。
だからと言って、産前産後休業、育児休業の取得を一方的に拒むことはできません。
そのような状況になってしまったら各都道府県の労働局に「雇用環境・均等部」に、まずは相談してみましょう。
以下のような相談を受け付けています。
- 性別を理由とする差別、
- 妊娠、出産・育児休業等を理由とする不利益取扱
- セクシュアルハラスメント
- 妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント
- パワーハラスメント
- 育児・介護休業
- パートタイム労働について
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職場復帰が近くなったら
まず復帰後の働き方を検討しましょう。フルタイム勤務か扶養内パート勤務か。
職場復帰の日、その後の働き方を相談して無理のないように進めていきましょう。
しかし中小企業である場合、育児休業の間、必要にかられて増員をしていたり、逆にいまの人数で事足りるようになったなど、復帰しようにも、どうしても戻れないという話もよく聞きます。
希望すればフルタイムで戻れるのが通常ではあるものの、フルタイムを希望していても、それは難しい言われてしまえば、転職も視野に入れなければいけません。
法律上は労働者有利でも、現実的には求められていない職場に強引に戻れるのかという問題も生じます。
他の正社員が長時間労働を前提とした働き方をする会社であれば、当然子育て中の労働者は、同じようには働けません。
共働きや、シングル家庭も当たり前な時代になりました。子育てをしながら働く人が、働きやすい環境、社会にしていかなければなりません。
これから産休・育休を取得する方は、育児休業に理解のある会社か、育休取得後に復帰できる会社か、復帰後子育てをしながら勤務することに理解のある会社かをしっかりチェックすることが大切です。
もしそのような会社でないならその前に転職を決めておくことも、視野に入れておきましょう。
まとめ
会社側では、従業員の離職率を下げる施策を行っていかなければ、優秀な人材の確保は難しいでしょう。現在は、男性の育児休業取得も推奨されています。従業員が、どんな環境にあっても、退職せずに働き続けることができる仕組み作りが必要です。
育児・介護にかかわる助成金(両立支援等助成金)なども用意されていますので、ぜひ活用しながら両立支援の制度を整備していきましょう。
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投稿者プロフィール
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柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
法律に適した労務管理で、働きやすい職場環境を整え、従業員の定着や生産性の向上など、企業の末永い発展をサポートします。
お困り事やお悩み事がありましたらお気軽にご相談ください。
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