70歳まで働く時代。教育訓練給付金で資格を取ろう!
人生100年時代。70歳まで働く時代になってきました。
年金の受け取り開始年齢は60歳から65歳に延び、65歳以降も受給を繰り下げられる年齢が、2022年4月からは75歳までに拡大されます。
現在30代、40代の子育て世代は、定年後の隠居生活は夢かもしれません。70歳、75歳まで働いているのでしょうか。本当に健康年齢が重要になりますね。
教育訓練給付金で資格を取ろう!
70歳まで働くとなると、定年後再雇用で嘱託として働くケース、それまでの経験を活かして独立するケースが考えられます。はたまた全く畑違いの仕事を始める人もいます。
いずれにしても、その際に関連のある資格を持っていると、心強いです。
以前から雇用保険の制度として教育訓練給付金があります。在職中の人でも使えキャリアアップのために利用したり、転職活動中の人が再就職のために利用することもあります。
教育訓練給付金は雇用保険に3年加入していると受けられる給付金で、次の3種類があります。
・一般教育訓練
・特定教育訓練
・専門実践教育訓練
教育訓練が受けられる人
①雇用保険の被保険者
教育訓練の受講を開始した日において雇用保険に原則3年加入していればOK。
前の職場を辞めて1年以内に再就職していれば、雇用保険の加入期間は通算されます。
②雇用保険に通算して原則3年加入していた人(退職者)
退職してから1年以内に教育訓練を受講すればOK。
①②とも、初めて教育訓練給付の支給を受けようとする人は、雇用保険加入期間が1年(専門実践教育訓練は2年)あればでOK。
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受けられる額は?
・一般教育訓練給付
厚生労働大臣の指定する一般教育訓練を受講し修了した場合、修了時点までに実際に支払った学費の20%(上限10万円)
・特定教育訓練給付
厚生労働大臣の指定する特定一般教育訓練を受講し修了した場合、修了時点までに実際に支払った学費の40%(上限20万円)
・専門実践教育訓練
厚生労働大臣の指定する専門実践教育訓練の受講中。支払った学費の50%(3年間の教育訓練上限120万円。2年間の教育訓練上限80万円、1年間の教育訓練上限40万円)
厚生労働大臣の指定する専門実践教育訓練の終了後、1年以内に雇用保険の被保険者として雇用さらた場合。支払った学費の70%(上限168万円。受講中に受けた訓練給付金との差額を支給)
対象講座
・一般教育訓練
訓練を通じて習得する能力に関する客観的目標が明確に設定された講座を幅広く対象。
簿記、Microsoft Office Specialist、WEBデザイナー検定、TOEIC、インテリアコーディネーターなど多数。
・特定教育訓練給付
即効性のあるキャリア形成ができ、社会的ニーズが高く、かつ、特に就職実現・キャリアアップとの結びつきの強さを客観的に評価できる教育訓練(専門実践教育訓練以外)
A:公的職業資格(業務独占資格・名称独占・必置資格)の養成課程(短期)その他の公的職業資格の試験合格目標講座 等
B:IT資格取得目標講座(ITSSL2以上)
C:ITLSに基づく新ITパスポート試験合格目標講座
D:文部科学大臣が認定する大学等の短時間のプログラム【60時間以上120時間未満】
業務独占資格(資格を持たずに業務を行うことが法令で禁止されている資格)
税理士、社会保険労務士、看護師、歯科衛生士、柔道整復師、美容師等
名称独占資格(資格がなくても業務を行うことができるが、その名称の使用は法令で禁止されている資格)
栄養士、保育士、ファイナンシャル・プランニング技能士等
必置資格(業務独占資格、名称独占資格2つのどちらに分類されるかにかかわらず、ある事業を行う際にその企業や事業所に保持者を最低一人、必ず置かなければならないと法律で定められている資格)
宅建士、介護支援専門員、食品衛生管理者等
・専門実践教育訓練
中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練が指定対象
①公的職業資格(業務独占資格・名称独占資格)の養成課程
【原則1年以上3年以内(一部120時間)以上】
看護師、介護福祉士、美容師、調理師、保育士、歯科衛生士、はり師、社会福祉士、準看護師、柔道整復士、栄養士、精神保健福祉士、助産師、理容師 など
②専門学校における職業実践専門課程等【120時時間以上】
③専門職大学院
④大学等における職業実践力育成プログラム【120時時間以上】
⑤高度IT資格取得目標講座
⑥第4次産業革命スキル習得講座
⑦専門職大学等
訓練期間は原則1年以上、3年以内。
特定教育訓練給付・専門実践教育訓練を受けるには、受講開始日前に、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリアコンサルティング」を受けなければいけません。これはハローワークで受けられます。
これらの制度を利用して、ぜひ資格を取得しましょう。
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教育訓練支援給付金について
教育訓練支援給付金は、2022年3月31日までの時限措置で、初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する人で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす人が、訓練期間中、失業状態にある場合に支給されます。
1日あたりの支給額は、訓練受講中の基本手当の支給が受けられない期間について、基本手当の日額と同様に計算して得た額の80%です。
まとめ
いま30代、40代の方はこれからの70歳、75歳までの職業人生を考える必要があります。終身雇用は怪しくなり、上場企業に勤務しているとしても安泰な時代ではなくなりました。就職して、社内の複数の部署を経験し定年を迎えるということのほうが少なくなっていくでしょう。
国が副業を推進する時代です。国の制度はしっかりと活用しながら人生100年時代を設計していきましょう。
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投稿者プロフィール
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柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
法律に適した労務管理で、働きやすい職場環境を整え、従業員の定着や生産性の向上など、企業の末永い発展をサポートします。
お困り事やお悩み事がありましたらお気軽にご相談ください。
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