労働時間の15分まるめ、30分まるめは違法?

2019年からの働き改革の一つとして、労働時間の適正な把握が義務化されました。

これまでも労働時間の把握は、厚生労働省のガイドラインによって、使用者には労働者の労働時間の把握が求められていましたが、時間外労働の割増賃金の適正な支払いを目的にしていたこともあり、管理監督者やみなし労働時間制の適用対象者は除かれていました。

しかし、それでは長時間労働による健康管理措置が不十分なことから2019年4月からは健康管理の観点から、管理監督者やみなし労働時間制の適用対象者も含むすべての人の労働時間の把握が義務となりました。

企業が必要な対応

使用者は、客観的な方法により労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。
この使用者には、使用者から労働時間を管理する権限の委譲を受けた者を含むため、人事部や総務部の責任者等に対しても義務が及びます。

〇タイムカード等による記録
〇パソコンのログインからログアウトまでの時間の記録等
〇労働時間の状況の記録は3年間保存

長時間労働者への対応
〇長時間労働者に対する医師による面接指導制度の実施
1か月80時間を超える時間外労働があり、当該労働者の申し出により、医師の面接指導(罰則なし)
1か月100時間を超える時間外労働あり、当該労働者の申し出にかかわらず、医師の面接指導(罰則あり)

時間外労働が1か月80時間以下であれば、医師の面接指導は努力義務であり罰則もありませんが、時間外労働の上限規制に違反する場合には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります。

時間外労働の原則上限、月45時間、年間360時間以内。
特別条項を利用する場合は、以下の条件をすべて満たすこと。
・45時間を超えることができるのは1年のうち6回まで。
・年間720時間以内。
・複数月平均80時間未満(休日労働を含む)
・1か月100時間未満(休日労働を含む)

労働時間の15分まるめ、30分まるめは違法か?

労働時間は1分単位での計算が原則です。
ただし、1か月の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは労働基準法違反として取り扱わないこととされています。
これまで1日ごとに15分未満や30分未満を切り捨てる処理をしている会社も多く見ました。切り捨てるだけで切り上げることは、ほぼありませんでした。これでは違法となってしまいます。

まとめ

労働時間の把握義務、労働者の健康管理措置、労働時間の上限規制の観点から労働時間は1分単位で集計していきましょう。従業員の世間話の後にタイムカードを打刻する等の行為は、注意指導によって改善を促します。

労働時間にあたるのかどうかなどの出退勤時の打刻のルール・運用については、専門家に相談をお勧めします。また、勤怠管理にはジョブカンなどのクラウドシステムでの管理がお勧めです。

当事務所では、給与計算代行や、クラウドシステム導入を支援しています。

投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
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