民間の医療保険は必要なのか?ライフステージごとに解説します。

車を運転する人は、万が一の事故に備えて、ほぼ自動車保険に加入していると思います。しかも自賠責保険といわれる強制保険ではなく、プラスアルファの任意保険です。これはなぜでしょうか。
加入が義務付けられている自賠責保険の支払限度額は、被害者1名につき傷害120万円、死亡3,000万円、後遺障害4,000万円であるため、もし、賠償金が自賠責保険の支払限度額を上回ってしまった場合には、その超過分の賠償金が自己負担となってしまいます。また自分自身のケガや対物の補償はありません。そのためこの超過分の賠償金をカバーするため任意保険に加入しているのです。

民間の保険に加入していなかった場合の保障を考える

保険は、大きく分けて死亡にそなえる死亡保険、病気・ケガに備える医療保険、老後や教育に備える貯蓄性保険があります。基本的に貯金があって、何が起こっても貯金で対応できるなら保険は必要ありません。現時点で貯金が2億円あれば、ほぼ必要ないでしょう。しかしそんな人は稀。
保険料支払いで、いまの生活が厳しくても困ります。その時々のライフイベント(就職、結婚、出産等)に応じて、保障と生活のバランスを取りながら保険は見直していく必要があります。まずは全く保険に加入していなかったらどうなるかを考えましょう。

あなたが一般企業の会社員なら健康保険と厚生年金保険、雇用保険に加入して保険料も負担しています。また事業主負担で、労働者災害補償保険も受けられます。

・日常生活で病気、ケガをして病院に行けば、医療費は3割の負担で済みます。
・大病を患って高額の医療費が発生したとしても、高額療養費制度で実質負担、1ヵ月円10万円程度の支払いで済みます。(報酬月額27万円以上〜51万5千円未満の方の場合)
・業務中や通勤途上の事故であれば、医療費は労働者災害補償保険でカバーされ、会社を休んでいる間は休業補償給付がもらえます。給付基礎日額の8割。
・失業した場合は、雇用保険から失業保険が出ます。
・もし自身が障害を負ったら障害基礎年金として年額780,900円(2級令和3年度)、万が一死亡したら遺族に遺族基礎年金780,900円+子の加算がもらえ、それぞれ障害厚生年金、遺族厚生年金も上乗せされます。

こうしてみると一般企業に勤める人は、社会保障制度でかなりの保険に加入している状態とも言えます。これらの公的保障制度を理解した上で、なお足りない部分を民間保険でカバーします。

就職したとき

独身の場合は、あなたが死んだあとに生活が困る人がいないので、まだ基本的に死亡保障は必要ありません。
しかし、自身の葬式代や親にある程度のお金を残したい場合は、300万円から1,000万円程度の死亡保障を確保しましょう。
ネット生命保険等で、死亡保障1,000万円、保険期間10年の定期保険なら月1,000円程度で加入できます。

定期保険とは、一定期間のみ保障が続く保険で、保険料は原則として掛け捨てですが、貯蓄性のある保険に比べると割安です。

結婚したとき

妻の医療保障は早めに確保しましょう。妊娠してからだと新たに医療保険に加入するのが難しくなります。
妊娠は病気ではないものの、健康上のリスクがある状態と判断されてしまいます。また加入できたとしても子宮・卵巣部位は保障しないとう部位不担保契約になる可能性もあります。妊娠や出産の不安や、不妊治療、異常分娩にリスクをカバーできる医療保険もあるので、結婚したら妊娠前に、医療保険には加入しておいたほうが良いでしょう。

入院給付金、日額5,000円。先進医療特約もついて、月額保険料2,000円程度からあります。

出産したとき

子どもが生まれたらまず検討するのは死亡保障です。万が一、一家の大黒柱が死亡した場合、遺族基礎年金、遺族厚生年金が支給されますが、年額100万から170万程度。これだけでは生活費、教育費など十分とは言えません。会社員か自営業か、共働きか否かによって、必要となる死亡保障額は変わってきますが、原則は子供が就職するまでの生活費、大学卒業までの教育費分はカバーしたいところです。

例えば、残された家族の生活費が月25万円。遺族年金が15万円とすると、毎月10万円が不足します。お子さんが大学卒業のまでの22年間では、生活費で2,640万円が必要です。それ以外に授業料やその他の活動費等の教育費も必要ですから3,000万~4,000万円程度の死亡保障は確保しましょう。
子どもが成長するにつれて必要な保障額は減少していきます。こうした変化にあわせた保険が収入保障保険です。保険期間の経過とともに受け取れる保険金額が減少していきますが、保険料は定期保険より割安になります。

ただし、収入保障保険は残された家族の生活保障には良いのですが、大学や専門学校への進学費用など、まとまったお金を用意する目的には不向きです。収入保障保険は基本的に年金方式で受け取る保険ですので、一時金として受け取ると、年金として保険金を受け取った場合の総額よりも、少ない額になってしまうからです。

定期保険や終身保険(一生涯保障が続く保険。満期保険金はないが、途中で解約した場合には、解約時期に応じた解約返礼金ある)であれば、万が一の際には、死亡保険金を一括で受け取れます。また、教育資金のみの目的であれば、進学するタイミングで、まとまった資金を手にする学資保険があります。

まとめ

それぞれに必要な保障は、家族構成やライフステージによって変わります。貯蓄性のある保険でなければ、保険期間中に何もなければ、掛け捨てで保険料は戻ってきません。しかし自動車保険のように万が一に備えるのが保険です。

万が一、死亡した場合に備えてその後の生活費と教育費を全て賄える定期保険に加入するか、障害状態等になって働けなくなった場合に備えて収入保障保険と、学資保険に加入するか。はたまた掛け捨ては無駄と考え、全て貯蓄や投資に回すのか。

保険は入ったら終わりではなく、価値観やライフステージにあわせて、保障と保険料のバランスを取りながら見直すようにしていきましょう。

投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
法律に適した労務管理で、働きやすい職場環境を整え、従業員の定着や生産性の向上など、企業の末永い発展をサポートします。
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