夫の退職で妻の健康保険と年金はどうなる!?

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夫婦共働き世帯も増えていますが、夫が会社勤めで妻は夫の扶養に入っているケースはまだまだ多いです。夫が退職した場合、健康保険と年金はどうなるのでしょうか。

公的年金制度の種類

公的年金制度には、以下の種類があります。

第1号被保険者 無職、自営業、フリーランス
第2号被保険者 会社員、公務員等
第3号被保険者 第2号被保険者の配偶者(男女問わず。妻が2号で、夫が3号もあり得ます)

夫が会社員の場合、夫は第2号被保険者として給料から健康保険料、厚生年金保険料が徴収されています。妻の年収が交通費込みで130万円未満であれば、第3号被保険者になることができて保険料負担はありません。また夫の保険料は扶養する家族がいてもいなくても変わりません。
第3号被保険者でいた期間は、国民年金保険料を納めたものとして将来もらえる年金額に反映されます。

夫が退職したら?

では、夫が退職したらどうなるのでしょうか。
夫は第2号被保険者として、これまで社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入していましたが、当然資格喪失です。第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者ですので、妻は第3号被保険者ではなくなります。

①夫が退職した翌日すぐに、別の会社に転職した場合

新しい会社で夫は第2号被保険者、妻は第3号被保険者として、これまでと同じ状況になります。

②夫がしばらく無職の場合や自営業を開始した場合

これまで加入していた健康保険の「任意継続被保険者」となるか、各市区町村窓口で国民健康保険、国民年金に加入するかの選択です。

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任意継続被保険者とは

1、資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。
2、資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)

上記の条件を満たせば、在職中に加入していた健康保険に個人で加入することができ、最大2年間「任意継続被保険者」となります。また任意継続被保険者を選択した場合は、妻や子供も被扶養者にすることができます。保険料は、在職中は会社が半額を負担してくれていましたが、任意継続被保険者は全額自己負担となり、これまでの2倍となります。

全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険の場合で、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、標準報酬月額30万円での保険料で算出されます。
「協会けんぽ」ではない健康保険組合の場合は、保険料の上限がもっと高かったり、家族を扶養とする要件が厳しかったりするので、要注意です。

任意継続被保険者にならなかったら?

任意継続被保険者とならなかった場合は、市町村の国民健康保険に加入します。
この場合、協会けんぽとは異なり、家族は被扶養者という考え方ではなく全員が被保険者(加入者)で、保険料は同一世帯の被保険者それぞれについて算定します。世帯の被保険者ごとに各種別(医療分・支援分・介護分)の保険料を計算し、合計したものが世帯の保険料になります。
国民健康保険の保険料は、前年の所得に応じて変わりますので、お住まいの各市区町村窓口に問い合わせましょう。概算の保険料を教えてくれますので、全額自己負担した場合の任意継続被保険者の保険料と、どちらが安くなるか確認しましょう。

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年金には「任意継続被保険者」の制度はないが免除制度あり

協会けんぽの健康保険で「任意継続被保険者」となったとしても、年金には任意継続被保険者の制度はありません。社会保険制度は健康保険と年金がセットです。どちらにも必ず加入していなければいけません。
これまで第3号被保険者で保険料負担がなかったとしても、夫も妻も第1号被保険者となれば、それぞれ国民年金保険料(令和3年度月額16,610円)を納める必要があります。
ただし失業により収入がなくなった場合には、申請することで免除されることがあります。
免除が認められれば、夫、妻ともに免除となりますが、あくまで申請が必要ですので忘れないように申請しましょう。全額免除となった場合、将来の年金額には半額納付したものとして計算してくれますが、免除申請せずに未納の場合は、年金額にも全く反映されませんので注意してください。

まとめ

夫が退職してしばらく無職の場合は、健康保険は任意継続被保険者か、市町村の国民健康保険料を比べて安いほうを選択。国民年金は忘れずに免除申請をしておく。

退職後は、給料から引かれていた住民税も個人払いとなって、自宅に納付書が届きます。国民健康保険料は、収入(所得)に応じた金額となりますが、予想より高くて驚きます。次の職場が決まっていれば安心ですが、もし無職の期間が長引く場合は、少しでも安い方を選択するように早めに確認しておきましょう。
任意継続被保険者になる場合は、資格喪失日から20日以内に申請完了が必要です。


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投稿者プロフィール

柏谷英之
柏谷英之
柏谷横浜社労士事務所の代表、柏谷英之です。
令和3年4月から中小企業においても「同一労働同一賃金」が適用されました。これは正社員 と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。これまでのように単にパートだからという理由だけで「交通費や賞与はない」ということは認められません。
これからは「同一労働同一賃金」に対応するため、正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正しなければいけません。
「働き方改革」が推進され、残業時間の上限規制(長時間労働の是正)、有給休暇の取得義務化など、法律はめまぐるしく変わっています。また「ブラック企業」という言葉が広く浸透し、労働条件が悪いと受け取られる企業は採用にも苦労しています。
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